強いと言われるチャートの形(カップウィズハンドルなど)
チャートパターンとは、株価の値動きの形に名前を付け、「この形の後はこう動きやすい」と経験則として語られてきたものです。 ここでは、入門書などで一般に強気の形(強いと言われる形)として紹介されることの多い4つの形について、どんな形か・一般にどう読まれるか・注意点を、一般的な知識として説明します。 どの形も外れること(だまし)が多く、特定の売買をすすめるものではありません。
共通の用語
- ネックライン・上値抵抗線: 形の中で何度か上昇が止まった水準を結んだ線です。形が「完成した」とされるのは、株価がこの線を上に抜けたときと説明されます。
- ブレイク(上放れ): ネックラインやハンドルの上限などの水準を、株価が上に抜けることです。一般に、形そのものより「どこでブレイクしたか」が重視されます。
- 出来高を伴う: ブレイクのとき、ふだんより出来高が増えているかどうかです。多くの入門書で、出来高を伴わないブレイクはだましになりやすい、と説明されています(出来高と株価の関係)。
カップウィズハンドル
- どんな形か: 高値からいったん下げ、丸い底を作って元の高値付近まで戻った「カップ(取っ手付きのコーヒーカップ)」の後、高値付近で小さく下げてから戻る「ハンドル(取っ手)」が付いた形です。米国の投資家ウィリアム・オニールが広めた名前で、カップは数週間〜数か月かけて作られる、と説明されます。
- 一般にどう読まれるか: ハンドルの上限(カップの右側の高値あたり)を、出来高を伴って上に抜けたところがブレイクとされます。ハンドルの間に出来高が減っていること、ハンドルの下げがカップの深さに比べて浅いことが、形の条件として挙げられます。
- 注意点: 「丸い底」「浅いハンドル」の判定は見る人によって違い、後から振り返ると形に見えても、途中ではカップの右側が戻り切らずに下げることも多くあります。
ダブルボトム(W字)
- どんな形か: ほぼ同じ水準で2回安値を付け、アルファベットの W のように見える形です。2つの安値の間の戻り高値がネックラインです。
- 一般にどう読まれるか: 「同じ水準で2回下げ止まった」ことから、その水準に買いが集まっていると説明され、ネックラインを上に抜けたときに形が完成したとされます。2回目の安値で出来高が1回目より少ないこと、ネックラインの上抜けで出来高が増えることが重視されます。
- 注意点: ネックラインを抜ける前は、ただの「2回下げた形」で、3回目の下げ(トリプルボトム)になることも、安値を割って下げ続けることもあります。上抜けの後にネックラインまで戻ること(リターンムーブ)も多く、そこで止まるかどうかは分かりません。
逆三尊(ヘッドアンドショルダーズ・ボトム)
- どんな形か: 3つの安値のうち、真ん中(頭)がいちばん低く、左右(肩)が頭より高い形です。3人の仏像が並んだ「三尊」を上下逆にした形という意味で、英語では Inverse Head and Shoulders と呼ばれます。2つの戻り高値を結んだ線がネックラインです。
- 一般にどう読まれるか: 頭で安値を更新した後、右肩で安値を更新できなかった(売りが弱まった)ことを表す形とされ、ネックラインを上に抜けたときに完成と説明されます。右肩からブレイクにかけて出来高が増えていくのが典型とされます。ネックラインが右肩上がりか右肩下がりかで読み方を変える説明もあります。
- 注意点: 肩と頭の高さの違いがわずかなときは、形と呼べるかどうか自体が主観的です。ネックラインの上抜けが出来高を伴わないときは、だましになりやすいと説明されます。
保ち合い上放れ(上昇三角形など)
- どんな形か: 「保ち合い(もちあい)」は、値動きの幅がだんだん狭くなっていく状態です。高値が同じ水準で抑えられ、安値が切り上がっていく形が上昇三角形で、ほかに高値も安値も収束する対称三角形、短い期間の旗の形(フラッグ・ペナント)、同じ幅で上下するボックス(レンジ)などがあります。
- 一般にどう読まれるか: 値幅が縮んだ後は、どちらかに大きく動きやすい(放れる)と説明されます。上昇三角形は、同じ水準で売りが出ているのに安値が切り上がっていることから、一般に強気の形とされ、上値抵抗線を出来高を伴って上に抜けたところを「上放れ」と呼びます。保ち合いの間は出来高が減り、放れで増えるのが典型とされます。
- 注意点: 保ち合いは上にも下にも放れます。上昇三角形でも下放れすることは珍しくなく、「形だけで方向が決まる」わけではありません。保ち合いが長引くほど、三角形の先端に近づいてからの放れは勢いが弱いと言われます。
だまし(外れること)について
- 形は後から見て分かる: どの形も、完成した後に振り返って名前が付くものです。途中の段階では、形になるかどうかは分かりません。
- ブレイクの後に戻ることが多い: ネックラインや上値抵抗線を抜けた直後に、元の水準まで戻ったり、そのまま下げたりすることはよくあります。出来高を伴わないブレイク、相場全体が下げている中でのブレイクは、だましになりやすいと説明されます。
- 形の認定は主観的: 同じチャートでも、どこを安値や肩と見るか、どの期間を見るかで、形に見えるかどうかが変わります。日足・週足など複数の期間で見ることがすすめられます。
- 形の成功率を集計した本もある: 形ごとに「ブレイク後に一定の値幅まで動いた割合」を集計した書籍がありますが、形の定義や集計の期間・市場によって結果が異なり、個々の銘柄に当てはまる保証はありません。
- 材料・需給と合わせて見る: 形は過去の株価だけから見たものです。決算や大量保有報告(5%ルール)などの事実、出来高、価格帯別出来高(壁の読み方)と合わせて見る、という説明が一般的です。
だましは見分けられるか
前もって確実に見分ける方法はありません。上抜けた時点では、本物のブレイクもだましも同じ形に見え、どちらだったかは後の値動きで分かります。そのうえで、だましを減らす手がかりとして入門書などでよく挙げられるのは次のような点です。
| 手がかり | 一般によく言われること |
|---|---|
| 出来高 | ふだんより出来高が多い上抜けは本物になりやすく、少ないとだましになりやすい |
| 終値で抜けたか | 日中に一時的に抜けただけで、終値では線の下に戻っているときは弱いとされる |
| 抜けた後の数日 | すぐ線の下に戻らず、線の上で推移するかどうかが見られる |
| 押し戻り(リターンムーブ) | いったん線の近くまで下げてそこで止まると、抜けた線が下値の支えに変わったと見られる |
| 相場全体の地合い | 市場全体が下げているときは、個別の形も崩れやすいとされる |
どれも「なりやすい」という傾向で、すべてそろっていても外れることはあります。そのため、見分けることよりも「どうなったら形が崩れたと判断するか(例: ネックラインの下に戻ったら)」を先に決めておく、という考え方がよく説明されます。
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